米金融機関が追及するデジタルによるカスタマー・エクスペリエンス向上

日米ともどもビジネスのデジタル・トランスフォーメーション論議が盛んですが、米国の銀行がめざすDXの方向をまとめてみました。

■ アマゾンのカスタマー・エクスペリエンス
アマゾン・ドットコムは、カスタマー・エクスペリエンスにこだわる企業として知られている。同社の社是は「Earth’s most customer-centric company」だが、Webサイトの使い勝手だけでなく、豊富な品揃えや低価格指向、迅速な配達、更にそれらを支えるITインフラや自動化倉庫など様々な施策すべてが、カスタマー・エクスペリエンス向上というベクトルに合致している。

その結果、アマゾンの顧客は、デジタルで提供されるカスタマー・エクスペリエンスに満足し、アマゾンの社員と会ったりコールセンターに連絡した経験がなくとも、アマゾン・ドットコムという企業に信頼感を持ち、それが企業の成長を支えている。

 

■ デジタル・トランスフォーメーションの目的
米国の金融機関がデジタル・トランスフォーメーションでめざす姿は、アマゾンと同じである。デジタル・チャネルで提供されるサービスに顧客が満足し、店舗が無く/銀行員と会話したことが無くとも、その金融機関への信頼感が醸造され維持されていくことだ。

銀行サービスのシステム化は、主に省力化の観点から、ATMの設置やWebサイト/モバイル・アプリの提供が行われてきたが、現在、これらは「デジタライゼーションによるカスタマー・エクスペリエンスの向上こそが金融機関の競争力」との視点で見直しがなされ、使い勝手の継続的な改善が図られるようになった。AmazonやFacebookの使い勝手が頻繁に更新されるように、CitiBankやChase銀行のWebサイト/モバイル・アプリもしばしば改善が行われる。

コールセンターによるカスタマー・サポートも、オムニ・チャネルの一環としてデジタル・チャネルとの融合が進むだけではなく、効率化/スケーラビリティの推進とカスタマー・エクスペリエンス向上を狙って、人工知能を活用した音声応答やチャットボットの導入が進んできた。先般、当ニュースで取り上げたバンク・オブ・アメリカのバーチャル・アシスタント「Erica(エリカ)」は、その最先端事例と言えるだろう。

 

■ パンデミックでデジタル・トランスフォーメーションが加速化
銀行サービスのデジタル・トランスフォーメーションが進めば、銀行店舗への来店客が減少し店舗の削減が必要になるとの論議は以前からあったが、その時期は予想しがたいとされていた。ところが、2020年3月よりコロナ・パンデミックに伴うロックダウンが実施された結果、顧客のデジタル・チャネル利用が強制的に進み、今日それが1年間続いている。これを受け、もう後戻りはないとして店舗網の閉鎖を始めた金融機関(TDバンクなど)も出現している。

従来、消費者が銀行を選択する際の大きな判断要素に「住居の近くに店舗がある」があった。現在、銀行サービスはすべてオンラインとコールセンターだけで可能なのだが、やはりイザという時に頼れる安心感は何者にも代えがたい。ところが米国の大手金融機関は、アマゾンの成功とパンデミック下の経験から、「デジタル・チャネルだけで信頼感/ブランド・ロイヤルティを作り出すにはどうすれば良いか」との視点で、更なるデジタル・トランスフォーメーションに取り組み始めている。金融機関のカスタマー・エクスペリエンス向上競争に注目しておきたい。

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